介護リフォーム

生きがいの場所

高齢者などの被介護者や、介護者にとって暮らしやすい家にするためのリフォームのことを介護リフォームと呼びます。
このリフォームは、介護される側だけでなく、介護する側の利便性も向上させるリフォームであることがポイントです。

介護リフォームとは

「両親を住み慣れた実家で介護してあげたいが、家のバリアフリーが進んでおらず高齢者には危険」「家の導線が悪く介護しづらい」という方は、介護リフォームを検討する必要があるかもしれません。
リフォームには多額の費用がかかりますが、介護保険を利用するとリフォーム費用を抑えることが出来ます。
また、地域によっては独自の補助金・助成金制度があります。
利用条件などは地域によって異なりますので事前に確認が必要です。

介護保険とは

介護保険制度とは2007年から開始された国の福利厚生制度の一つで、介護を必要とする人が適切に介護を受けられるように、セーフティーネットを設ける制度です。40歳以上の人は、この介護保険に加入し、保険料を納める義務があります。

その対価として、64歳までは「第二号保険者」となり、16種の特定疾病のいずれかにかかり、要介護認定を受けた際に介護給付を受けることができます。

さらに65歳以上になると「第一号保険者」となり、介護が必要であると認定を受けた際に程度に応じて介護給付を受けることが出来ます。この介護給付の一つが、介護のための住宅改修費の支給です。支給条件を満たした人であれば、対象のリフォームにおいて補助金が支給されます。

しかし、そもそも39歳以下の人は介護保険を利用できないため、39歳以下の被介護者の場合は補助金を受給できないことに注意する必要があります。

以下で具体的な支給額や支給条件を紹介します。

3つの支給条件

介護保険制度を利用して補助金を受給するためには、3つの支給条件を満たす必要があります。

●要介護認定されている介護保険の被保険者であること
補助金を受給するためには、介護保険の被保険者、すなわち40歳以上かつ、要介護認定で「要支援1〜2」もしくは「要介護1〜5」のいずれかに認定されていること、が必要になります。

●対象の住宅が被保険者の住所と一致すること
補助金の対象となる住宅は、「介護保険被保険者証」に記載されている住所の住宅です。

その上で、被保険者が実際にその住宅を利用していることが条件になります。

●利用者が福祉施設や病院に入っていないこと
被保険者が福祉施設に入所している場合や病院に入院している場合は、被保険者が自宅を利用しているとは言えないため、補助金支給の対象外になってしまいます。

支給額

介護リフォームの補助金、すなわち「住宅改修費」は、他の介護保険サービスの支給限度額に加算されないため、既に他の介護保険サービスで給付を受けている方も、限度額を気にせずに申請出来るのが特徴です。

●支給額は最大18万円
補助金の対象となるリフォーム費用は、最大20万円です。
そのうち、所得に応じて7~9割の補助を受けることが出来るので、支給額は最大18万円です(自己負担が1割のケース)。
介護認定度による限度額の差はありません。

リフォーム費用が20万円を超えた場合は、自己負担分(2~6万円)+(リフォーム費用-20万円)が実際の負担額になります。
なお、介護保険を利用した補助金は「償還払い」のため、一度費用をすべて支払ったのち、支給額が払い戻される仕組みです。

●再度支給できるケースも
補助金の支給は原則一人の被保険者につき1回ですが、要介護度が3段階以上あがった場合や、転居した場合には、再度限度額まで受給することが出来ます。
また、一つの住宅に支給対象となる被保険者が複数名いる場合は、重複工事でなければそれぞれ1回ずつの補助金申請が可能です。

●分割利用も可能
補助金の対象となるリフォーム費用は最大20万円ですが、もし1回のリフォーム費用が20万円に達しない場合、数回に分けて利用することが出来ます。

対象となる住宅改修(リフォーム)

介護保険制度における補助金(住宅改修費)は、あらゆる介護リフォームにおいて受給できるわけではありません。
支給対象となる工事の内容は、予め以下の6項目に決められています。

●手すりの取り付け
転倒を防止し、移動を手助けする手すりを取り付ける工事です。

玄関、廊下、階段、トイレ、浴室などの必要な箇所に設置します。

手すりの形状に指定はないため、被介護者が使いやすい高さ・形状で設置することが重要です。

●段差の解消
手すりの取り付けと同様、転倒防止と移動をスムーズにすることを目的とした工事です。

スロープの設置や、床をかさ上げすることによって、家の各所の段差を解消します。

●床材、通路面の材料変更
転倒防止などを目的に、既存の床材に滑りにくい加工を施す、滑りにくい床材に交換するという工事です。

車椅子が使いにくい畳の床を、フローリングに変更する場合もこの工事に含まれます。

あまりにも滑りが悪すぎる場合には、逆につまずきや転倒の原因になるため注意が必要です。

●引き戸などへの扉の取替
握力が弱くなってドアノブを回すことが困難になるケースや、開き戸が邪魔して車椅子の移動がしにくいといったケースに対応し、ドアを引き戸などに変更する工事です。

重くて開けにくい引き戸を、軽い引き戸に取り替える工事なども含まれます。

●洋式便器などへの便器の取替
高齢者が立ち座りをしやすいように、和式便器を洋式便器などに交換する工事です。

この際、洗浄機能や暖房機能がついている便器でもかまいません。

また、もともと洋式トイレの場合でも被介護者が使いやすいように高さを変更する工事や、向きを変える工事であれば支給対象になります。

●上記5つに付随する改修工事
手すりを取り付ける為の下地工事、浴室の床のかさ上げに伴う給排水設備工事など、上記5つに付帯する工事であれば支給対象になります。

申請から支給までの流れ

補助金を受給するためには、必ず「工事を始める前に」申請をしなければなりません。
工事開始時や、終了時に申請を行っても原則受理されないので注意が必要です。
また、給付方法は原則として償還払い方式であるため、受給の流れとしては、各市区町村に補助金申請→利用者がいったん工事施工業者に全額支払い、 介護リフォームを行う→後に各市区町村から補助金給付、という形になります。